原因は飲食店による空焚き。飲食店の賠償責任は?
2016年12月新潟県の糸魚川市で起きた火災事故は150棟273世帯576人に避難勧告が出るという大災害となりました。原因は飲食店による空焚きによるものでしたが、多くの問題や今後の教訓とも言える良いところも見えてきたと思います。凄い件数の火災事故でした。
良いと思えるところ
- 死者数が0であったこと
これだけの大規模災害なのにも関わらず、死者数が0であったのはとても良かったことと思います。火災を知った人々は隣近所に声を掛け合い助け合い避難していった事はすばらしいと思います。防災用に無線を使用しているところなどから、日ごろの防災意識の高さが糸魚川市と住民にあったのだろうと推測されます。
問題と思えるところ1
- 飛び火による延焼
今回の大規模災害は、火災発生から強い風が火種となる火をまき散らしその飛び火が多くの建物に被害を拡大させてしまい、これにより、消防も追いつかないところがあったのだろうと思われます。このような場合、糸魚川市のように住宅が密集してしまっている地域では、個々のハイテクな消火活動対策や類焼防止の方法が求められるのではないでしょうか。
問題と思えるところ2
- 現行の法律
「民法 第709条」には
「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負う」とあるものの、
「失火の責任に関する法律(失火責任法)」では、
民法第709条の規定は失火の場合にはこれを適用せずただし失火者に重大な過失がある場合はこの限りにあらずとあります。
分かりやすく言うと、住宅密集地が多い日本では、失火元から類焼をしてしまい、他人の財産(建物、家財など)に迷惑を掛けた際に、失火者に全て責任を負わせるのは酷である。と言う考え方なのです。ところが、「失火者に重大な過失がある場合~」はこの限りにありませんので今回の「空焚き」が重大な過失があるのかないのか?が今後の争点になってきそうです。一部の情報では、「空焚きは鍋に火を掛けたまま外出した」とありますので、これは私の考えですが重大な過失にあたりそうな感じは、なんとなくしています。
- 最後に
今回の火災事故で、火の恐ろしさが改めて分かった人も多いのではないでしょうか。特に古い木造住宅は今のような耐火構造とはなっていない建物が多く、それらの建物が燃えればあっという間に延焼してしまう可能性があります。その火を消す消防にも限界がありますので住宅や家財の損害リスクを回避するためには火災保険に入ることが大切であり、自分の事は自分で守るという考えが必要になってくるのです。
今回の火元とされる「空焚き」などは絶対にやってはいけない行為ですが、人間ですから「ついうっかりとやってしまった」という事は誰でもあるかも知れません。いつ自分が加害者となるか分かりませんので、ここでも賠償責任保険などの任意保険の加入が重要と言えると思います。
今回、弊社の火災保険以外の損害保険契約者からも火災保険について見直し相談、問合せをいただきました。今回の火災は多くの人々が火災事故についての関心を持たれたようです。うちの火災保険は大丈夫かな?と思われた方は加入されている内容をよく確認されることをおすすめします。
過去の事故を教訓に今後に生かされると良いと思います。