火災保険の見直しの機会を見逃さないように
2025年9月にマンション共用部の火災保険が満期となる管理組合様が多いはずです。それもそのはず、弊社にも多くの管理組合様から火災保険の見直し依頼を受けていますが圧倒的に多いのは2025年(令和7年)9月に満期となるご契約です。
というのも2015年(平成27年)10月に火災保険全般に大幅改定がありました。中でも建築年数に応じた保険料体系へ変更された事です。あれから10年。現在では建築年数に応じた保険料体系へ変更されています。
特に築年数が20年を超えるマンション管理組合様は平成27年10月に変わる火災保険の改定に備えて平成27年9月の内に加入している火災保険を解約して最長の5年に中途更改(解約して火災保険をかけ直す)をした為になります。
よって平成27年9月末日~平成32年9月末日その後の更新が終わり、令和2年9月末~令和7年9月末の保険期間となっているご契約が多いのです。保険料が大幅に値上げになった後に一度はやむを得ず大幅値上げも仕方ないとして更新されたマンション管理組合様も多いことでしょう。
しかし、マンションの保険料UPの問題が解決した訳ではありません。今後の対策はいかがお考えでしょうか?増え続ける火災保険料をそのまま払い続けるのか?または、火災保険料が下がることを期待されるのでしょうか?保険のプロである私の見解では、今後マンション共用部の火災保険料は、「マンションの築年数が増えてくること」「自然災害の増加」により上がり続けてしまうのではないか?と判断をしています。
水漏れ損害について 出典:保険料率算出機構より
支払い件数 | 保険金 | |
---|---|---|
2020年 | 57,693件⤴ | 392億円⤴ |
2019年 | 47,499件⤴ | 320億円⤴ |
2018年 | 42,058件 | 266億円 |
2017年 | 42,470件⤴ | 285億円⤴ |
2016年 | 38,290件⤴ | 225億円⤴ |
水濡れ損害とは、水道管から水が漏れ、床が水浸しになるなどの損害です。近年、保険金の支払いは増加しています。その背景としては、主に以下のような事故が増えていることが考えられます。
気象要因による事故※
※一般的に、外気温が-4℃以下になると水道管が凍結により破裂すると言われており、最低気温が低い寒冷地での支払が多い等、地域別にリスクが異なる傾向にあることを踏まえ、参考純率を建物の所在地(都道府県別)により区分しています。
●老朽化が進んだ給排水設備により生じた漏水等
建物の老朽化
築4年以下 | 築5~9年 | 築10~19年 | 築20~29年 | 築30年以上 | |
---|---|---|---|---|---|
2020年 | 12.2% | 14.3% | 25.6% | 15.4% | 32.5% |
2019年 | 12.8% | 14.7% | 25.6% | 15.5% | 31.4% |
2018年 | 13.6% | 15.3% | 25.5% | 15.8% | 29.8% |
2017年 | 14.4% | 15.6% | 25.2% | 16.4% | 28.4% |
2016年 | 15.3% | 16.5% | 24.2% | 16.8% | 27.2% |
建物が古くなるにつれて給排水設備の老朽化が進み※1※2、漏水等の事故が増加する傾向にあります※3。築年数別に見ると、築年数が経過している住宅(築10年以上)の 構成割合は2016年には68.2%でしたが、 2020年には73.5%に増加しています。
※1 住宅設備の耐用年数は建築年や設備種類によって異なりますが、例えば、1976年以降1995年以前に建築された建物の給水管については、最初の修繕工事を行う目安は建築から25年後とされています(「マンション管理標準指針」 (国土交通省))。
※2 国土交通省のアンケート調査によると、例えば、1994年以前に建築されたマンション(サンプ ル数671件)のうち、大規模な計画修繕工事において給水設備に対する修繕が実施された建物は約15%に止まっています(「平成30年度マンション総合調査結果」(国土交通省))。
※3 一方で築年数が浅い建物は漏水等の事故が起きにくいことから、当機構では、築年数が浅い住宅(築浅住宅)を対象とした割引を設定しています。
以上、出典:損害保険料率算出機構
マンション共用部の火災保険が値上げとなっている理由
- 上記のような建物の老朽化による水漏れ事故が増えている
- 築20年以上のマンションが増えていくため
- 自然災害(風災・雪災)の支払いが増えているため
令和7年9月に満期を迎えられるマンション管理組合様の火災保険は大きく値上げとなってしまう事が考えられます。これから満期を迎えられる管理組合様の火災保険は既に値上げとなっておりますので、中途更改※という緊急的な対策方法がありません。
※保険期間中に内容の変更が生じたことなどに伴い、いったん解約し、新たに契約を締結することをいいます。
弊社が今までマンション管理組合様から相談を受けたケースで最も多いのは保険料の値上げについてです。それも僅かな値上げではなく、同じ条件で更新すると数倍になってしまうのでどうしたらよいか?という保険料についての相談です。
大量に満期を迎えられることによるお問合せ増大も想定されます。令和7年(2025年)年9月に満期を迎えられるマンション管理組合様はお早めに相談をお願い致します。